井上洋介さんとつきよのふたり
井上洋介さんの訃報を受けて。
これは1月に読んだ絵本。『つきよのふたり』。
見開きの2ページを大きくつかい、みじかい言葉で「つきよ」の風景が繰り広げられる絵本です。
「でんしんばしらとえんとつ」「ナマズとやなぎ」など、「ふたり」の組み合わせはいろいろなので「これは合うね」「これはわかんないね」って子どもといい合いながら読んだ。
よるを描いた絵本は、子どもたちはそれとなく好きなジャンルだ。谷川俊太郎の「よるのびょういん」はすこし怖いけどなぜか読みたくなるらしく、リクエストされて読んであげた記憶がなんどかある。ハロウィンやクリスマスのようなハッピーなよるの絵本もすきだけど。すこし異質でちょっと怖い感じに引き込まれる、そんな「よる」の世界を描いたものが好きだ。
そういえば大学のときに仏文学の教授が「よるは、こわいよ」と言っていたのを思い出した。白いひげを長く伸ばして詩人のようなふるまいの教授だった。
前後の意味あいはもう忘れてしまったけど、そのことばはよく覚えている。
子どもたちがいま感じているよるが、教授の言ってたよるのこわさにつながるというか、そもそも大人はそうした「よる」の本質について感じる時間を持たなくなるので、絵本を通じてそれを感じることで本質に近づくというか…。
よくわからなくなってきましたが、井上洋介さん、亡くなってしまいました。仏文学の白ひげ教授も随分前に亡くなりました。よるというテーマでつながったふたりでした。