しらないまち | 田島征三
『えんそくの日に遅刻をして、違うバスに乗ったら
タンポポが歩いて魚が生えて野菜のビルが建つ
変な世界に入り込んでしまったお話』
変な世界に行って、また帰ってくる。入り口は「しらないまち」方面の道で、これは家のすぐそばにある。帰りも、同じ方向から戻ってくる。
変な世界ではトラブルがどんどん続く。おべんとうも街路樹の「犬」に食われてしまう。遠足に行くはずがこんな風になったら大変だろうなと思う。
川ではバナナが泳いでいて、これを2匹捕まえる。これを巨大なきりぎりすに1本あげて町まで連れて行ってもらうが、2本とも食べられてしまう。
お腹が空いて”たんぽぽレストラン”に入るとそこにはお風呂があって、お風呂からあがるとおおきなたんぽぽに食べられるためのレストランだった。これはあの注文の多い系のレストランかもしれない。
ともかく、たんぽぽは人間がきらいだったのか、綿毛といっしょに吐き出されてもとの世界=家に裸で戻ってくるのだった。
「知らない町」へは、家の前の道から行ける。看板にそう書いてある。1回行ったらもう知ってる町なのではないかと思いつつ、遠足はそもそもどこへ行くはずだったのか。案外「しらないまち」だったのかもしれないな、と思った。おかあさんと妹はさいしょもさいごもニコニコしているのだった。
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