おもちのきもち | かがくいひろし
『ちぎられて散り散りになっていく兄弟を
横目でみている鏡餅は家を逃げ出したが、
ふと自分を食べてみてその美味しさに気付いたというお話』
お正月でもなんでもないけど、前から気になっていたので読み聞かせてみた。
おもちが、じつは自分自身の美味しさを知らない、という擬人化をしている。
みどころは家を飛び出してダッシュする鏡餅。ビローンと伸びた四肢が楽しい。あとはおいしそうに自分のあしを食べてみるとこかな。
タイトルの気持ちについて。
いつか食べられてしまうから逃げたり、じつは自分の美味しさを知らないというページはあるけど、さいごになぜ反り返ってかじったのかという部分は作中では語られていないので、想像してみるしかない。
最終的には尻尾を飲み込んだ蛇のようになって固まってしまう恐怖の結末をむかえる。鏡開きで包丁を入れられるのと、外で硬直して動けなくなるのと、どちらがよいかというと逃げない方がよかった気もするけど、どちらも大変だと。
そう考えて1ページ目をあらためて見返すと、もちが、頭を杵で滅多打ちにされている絵が描かれている。
食べものを擬人化するとおもわぬ残虐性が出てくるのだな、とおもった。