おとうさんをまって | 片山令子 スズキコージ
『汽車に乗って遠くまで仕事へいったお父さんを
おもちゃ屋のショーウインドーで機関車を眺めながら待つ
男の子と犬のワンダのお話』
ショーウインドーの中の機関車は、山を走っている。
シグナルができたり牛がいたり雪が降ったり煙突のある家ができたり、機関車のまわりの状況は変化する。
ある日突然現れる船乗りは、じぶんの子どもに船のおもちゃを買って帰った。またある日機関車のおもちゃを欲しがる子が現れるが、ワンダの機転で犬に気が変わった。またあるときは機関車が脱線してしまい、それを見て旅先のおとうさんを案じるシーンもある。
ショーウインドーの機関車は男の子が思うおとうさんの状況を表していて、ただのおもちゃではないのだと思った。
男子というのは車や飛行機など乗り物のおもちゃが好きだし、ロボットも好きだ。これは、おもちゃとして遊んでいるわけではなくて、車そのもの、飛行機そのもの、ロボットそのものとして遊んでいるんだと思う。
プラレールを走らせるときは床に顔をつけて、プラレールとおなじ高さまで目を寄せて遊ぶ。電池で走るのにスイッチを切ってわざわざ手で動かすのも、自分の想像により近い動きを再現するためだと思っている。
雪山を走り抜ける機関車を見つめる男の子とワンダの見開きの絵があって、このページを見ながらそんなことを思った。